九州工業大学 大学院 工学府 物質工学専攻  マテリアル工学コース / 工学部 マテリアル工学科

エネルギー環境材料学研究室

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研究紹介

量子化磁束のダイナミクス制御と物質科学への展開 (科研費 基盤S)

・研究の背景・目的
 2つ以上の物質からなるナノ複合・ヘテロエピタキシャル薄膜はまったく新しい機能性材料を生み出す可能性に満ちている.例えばゼロ抵抗超伝導電流の上限を極限にまで高めた高性能超伝導薄膜,磁性相と強誘電体相を同一膜中に共存・制御するマルチフェロイック薄膜,変換効率を飛躍的に高めた量子ドット型太陽電池薄膜など多くの有望なターゲットがある.この技術は異なる物質相や秩序相,異種結晶界面や局所ひずみ,結晶構造や電子状態の急峻な変化・パターン,等々をエピ膜中に作り出し,相固有の特徴的長さ・量子効果と物質との最適な相互作用を引き出すことを可能とする.本研究では,ナノ複合・ヘテロエピタキシャル薄膜技術を発展させ,超伝導電流の上限を理論限界近傍にまで高めるための道筋を明らかにするとともに,得られた知見の様々な機能性材料への展開も目指す.
・研究の方法
 超伝導秩序相を規定する重要な熱力学的パラメータとして,臨界温度Tc,上部臨界磁場Bc2,および対破壊電流密度J0がある.TcとBc2は小さな電流密度下で実測できるためよく理解されているが,J0の実測には大電流通電が必要である.しかしJ0に達するはるか以前に,ローレンツ力に耐え切れず量子化磁束のピン止めがはずれてしまうので,熱力学的上限に近い臨界電流密度Jcは実現されたためしはない.本研究では応用の可能性を飛躍的に拡大することを念頭に,現状のJc/J0=1〜10%の限界を超え,Jc/J0=30〜50%という大きなローレンツ力下の磁束物理という新分野を開拓する.そのため,@最適ピン構造の設計,Aナノ複合・ヘテロエピ薄膜作製技術,Bミクロ構造および物性キャラクタリゼーションの3つの観点から研究を進め,量子化磁束の強力なピン止め構造を超伝導体中に導入する.
・期待される成果と意義
 本研究では,熱力学的理論限界のJ0に限りなく近いJcの実現を目標とするが,まずJc/J0=30〜50%を達成する道筋を示すことは,量子化磁束制御技術の金字塔となる.また,その道筋において自在なナノ複合・ヘテロエピ構造作製プロセス,原子・分子レベルからの設計・評価,および大規模計算などの知見を積むことは,他の機能性ナノ複合・ヘテロエピ薄膜への展開にも有効である.

原子レベル制御による120K級超伝導線材の開発 (ALCA)

 本研究では、原子レベルからのキャリア制御・ナノ構造制御・ピン止め制御、等々という新しいコンセプトに基づいて、銅酸化物超伝導体(Hg系、Bi系、RE123系等々、RE=希土類)の臨界温度、不可逆磁場、および臨界電流密度を同時に向上させる新規技術を開拓します。この技術を用いて、現状の銅酸化物超伝導線材の特性を超えて、より高温・高磁場中において使用可能な120K級超伝導線材を実現することを目指します。

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