研究写真ギャラリー
電荷誘起型強誘電材料における結晶構造およびナノ構造の温度変化
新しい電荷誘起型強誘電材料における結晶構造およびナノ構造の温度依存性について、透過型電子顕微鏡等を用いて調べた。その結果、希土類イオンが異なる場合でも結晶構造は類似した温度変化を示すものの、その温度は大きく異なることを見出した。また希土類イオンサイズに依存して、ナノ構造の形状が大きく異なることを発見した。
Y. Horibe, et al., "Crystallographical and morphological changes in charge-ordering transition of RFe2O4 (R: Y, Lu) investigated by transmission electron microscopy", Ferroelectrics 584, 20 (2021).
水素脆化したステンレス破面直下の材料組織
水素脆化したステンレス破面に現れる擬劈開直下の材料組織について、透過型電子顕微鏡等を用いた研究を行った。その結果、擬劈開直下にはアモルファス領域が存在すること、その下部に存在する多結晶領域とは化学組成がほぼ同一であることを発見した。またアモルファス領域において、空孔の凝集領域の存在を明らかにした。
A. Harada, et al., "Amorphization under fracture surface in hydrogen-charged and low- temperature tensile-tested austenitic stainless steel", Philos. Mag. Lett. 101, 40 (2021).
混晶系マンガンスピネル酸化物ZnMnGaO4におけるナノ構造変化
マンガンスピネルZnMn2O4とガリウムスピネルZnGa2O4を混ぜ合わせた混晶系スピネル酸化物ZnMnGaO4において、透過型電子顕微鏡等を用いた研究を行った。その結果、高温からの冷却速度の違いによるチェッカーボード型ナノ構造からラメラ型ナノ構造への構造変化の存在を発見した。
M. Ishimatsu, et al., "Control of nanostructures by cooling rate in spinel-type manganese oxide ZnMnGaO4", Jpn. J. Appl. Phys. 59, 105002 (2020).
混晶系マンガンスピネル酸化物(Co,Mn,Fe)3O4におけるナノ構造変化
フェライト磁石であるCoFe2O4とマンガンスピネルCoMn2O4を混ぜ合わせた混晶系スピネル酸化物 (Co,Mn,Fe)3O4において、透過型電子顕微鏡等を用いた研究を行った。その結果、これらの材料がセラミックスであるにもかかわらず、単純な熱処理のみでチェッカーボード型からラメラ型へのナノ構造制御が可能であることを発見した。またこのナノ構造制御による、磁性変化を見出した。
Y. Horibe, et al., "Self-assembled lamellar-type nanostructure in manganite spinel (Co,Mn,Fe)3O4",
Appl. Phys. Lett. 115, 232401 (2019).
非鉛系ビスマス誘電材料Bi1-xSmxFeO3における反強誘電的結晶構造変化
代表的な非鉛系強誘電材料であるビスマスフェライトBiFeO3のBiサイトに希土類元素であるSmを置換した際の結晶構造変化について、透過型電子顕微鏡等を用いた研究を行った。その結果、Sm置換量の増加に伴う、反強誘電的な結晶構造変化を見出した。またこの結晶構造変化が、特徴的なイオン変位の合成により説明できることを発見した。
Y. Horibe, et al., "Quadruple superstructure with antiferroic ionic displacements in Bi1-xSmxFeO3",
Phys. Rev. B100, 024105 (2019).